2007年09月15日
ヒストリエ
「学生時代、世界史がきらいだった人は?」
「はーい」
これで半分くらいかな、手があがるのは。
「そのなかで、カタカナが多いからきらいだった人は?」
「はーい」
半分の半分くらいは手があがりますよね、きっと。
私もそうでした。
ヴィルヘルム4世とか、5世とか、6世とか、
フランク王国は、ヴェルダン条約とメルセン条約によって分裂したとか、
シリマヴォ・バンダラナイケ、とか。
十分な時代背景や人物像を学ぶ時間もなく、次々出現するカタカナを記憶しなければならないということは、
それこそ悪しき詰め込み丸暗記教育の象徴のような科目ではない?
原語ならきっともう少し脳髄にしみ込むはず。
インカ帝国最後の皇帝アタワルパだって、インカの文字(!?)で書いてくれよ、教科書。
若い日のgadogadoのこのような決めつけは、まあ、言い訳と言うか正当化というかすっぱいぶどうというか(ちょっとちがうか)。
だったのですが、
でもしかし、
クレオパトラとかバクーニンとかスリジャヤワルダナプラコッテとか、
パタリロ8世とか、バンコランとか、オスカルとかだったらしっかり記憶して忘れる事はないのですから、
結局は自分で、そのカタカナという記号に意味を与える作業ができなかっただけなんですね。
(教師がしてくんなかったのも確かですが!)
その作業をすべて学問的に実践するような閑はないから、
上質の映画や徹夜で読みたくなるような小説や次の号(巻)が待ち遠しくて身悶えしそうな漫画、などはきわめてありがたい文化なのです。
「カタカナがわたしに近づいてくる!」
たとえば、連載中の漫画「ヒストリエ」に登場する古代ギリシア風の名など、この漫画に惚れなければ一生無縁だったでしょう。
ヒエロニュモス、イスメニアス、ヘカタイオス、サテュラ…
ましてや、主人公の名がエウメネス!
うん、読まなきゃ無理だったろうな、知らないままだったろうな。
スキタイの勉強まで始めてるよ、オレ。
いまの旬の漫画ゆえ、ネタバレは避けたいからストーリーは書きませんが、
いつも丁寧な作画をする作者岩明均氏の作品のなかでも、
一こまごとに意味のある、とびきり完成度の高い漫画です、今のところ。
5巻いつ発売かなあ(身悶え)。
「ヒストリエ」 岩明均
アフタヌーンKC
講談社
Posted by gadogadojp at 22:19│Comments(0)
│マンガ