「てだこ(^o^)亭」のアマトリーチェ支援チャリティー
「料理工房・てだこ(^o^)亭」のアマトリチャーナ:飯塚みどりシェフ撮影
ことし2016年8月24日未明、イタリア中部を直下型地震が襲いました。
深さ10kmで起きたM6.2の地震とその余震は、
マルケ・ウンブリア・ラッツィオ・アブルッツォ4州にわたって被害を及ぼし、
9月なかばの報道時点で犠牲者は300人近くに及んでいます。
中でもラッツィオ州アマトリーチェの町の被害は大きく、229人にのぼるといいます。
人口2700人の小さな町の8.5%の犠牲という計算です。
この町の石やセメント造り(に見える)家屋の倒壊のすさまじいようすは、
市長の「町の半分がなくなった。多くの人々が瓦礫に埋まっている」というコメントとともに、
報道でご覧になった方も多いと思います。
AFP
AFP
アマトリーチェ (Amatrice)といえば、イタリアの代表的パスタ料理の一つアマトリチャーナ(Amatriciana)の由来になった町です。
アマトリチャーナは、グアンチャーレ(豚頬肉の塩漬け)、ペコリーノ・ロマーノ(羊乳のチーズ)、トマトを用いるパスタソースです。
(トマトを使わないタイプもあるそうです)
このソースの発祥の地がアマトリーチェだと言われているのです。
そこで、世界のあちこちのイタリア料理店が支援の動きを始めました。
それぞれの店で客がアマトリチャーナを注文すると、
その売り上げの一部を地震被害の支援金として送るというのです。
みさなんのお近くのイタリア料理店でも、この取り組みが行われているかもしれません。
(「サイゼリア」のようなファミレスチェーン店でも実施中です。)
ここしばらくの間、イタリア料理店でのパスタの注文はアマトリチャーナでいきましょうか。
那覇市のイタリア料理店「てだこ(^o^)亭」の外観:2014年12月の写真
さて、そのようなチャリティーの取り組みは沖縄でも始まっています。
我らが「料理工房・てだこ(^o^)亭」の飯塚みどりオーナーシェフがやってくれました。
これで私たちもとびきりおいしいパスタ料理を食べてチャリティーに参加できます。
お店ではいまもチャリティーメニューを実施中なので、
できればいますぐ那覇に飛んで通常はメニューにないアマトリチャーナを食べに行ってください。
わたしたちもそうしたいところですが、なかなかそうも行きません。
行けば行ったで「てだこ(^o^)亭」で食べたいものがたくさんありますしね。
そんなわたしたちにぴったりの
<お取り寄せアマトリーチェ地震チャリティパスタセット>をシェフは企画してくださいましたので、
何はともあれ飛びつく事にしました。
私の調理の腕ではお店レベルの味の再現は無理だろうなと思いつつ。
(このお取り寄せ企画は申し込みが殺到し、すでに締め切られました。)
宅配便が夜に届き、翌日の夕食の主役に据える事にしました。
その日の私は少々体調がすぐれず、梱包を開いた写真を撮影できなかったのが残念ですが、
ブカティーニ(乾麺)、二種類のソース、二袋の挽いたチーズが入っていました。
例によって詳細丁寧な調理手順が添付されています。
これにしたがって、妻と一緒に調理してみましょう。
ガス台が二口しかない我が家なので、カセットコンロも導入し、
ブカティーニパスタを茹で、二種類のソースを温めます。
・・・・
茹で方担当の私がほんのわずか長く茹で過ぎたかもしれませんが、
麺には微妙なふうわり感が感じられ、ソースによくからんでいます。
グアンチャーレの味のコクも特筆もので、
本物チーズの風味も強いのに、
トマトソースがこれを抱きすくめるように調和をとっています。
うん、とてもおいしくいただきました。
お店ですと、もちろんもっと上出来の料理になるはずですから
できればいますぐ那覇に飛んで通常はメニューにないアマトリチャーナを食べに行ってください。
あ、しつこいですか(笑)
嶺井さんのグアンチャーレを使ったアマトリチャーナ:奥様撮影
照井さんのグアンチャーレを使ったアマトリチャーナ:奥様撮影
さてさて、ここまでの記事の文中では、
あえてまだ書かなかった重要な要素を簡単に説明する事にします。
この「てだこ(^o^)亭」特製アマトリチャーナは、シェフ飯塚みどりさん一人で完成したわけではありません。
先に「二種類のソース」と申しました。
実はグアンチャーレ(豚頬肉の塩漬け)が二種類あり、シェフはそれぞれの特製を生かしたソースを作成したというわけです。
二種のグアンチャーレを作った職人は別人で、お二人とも沖縄に根をおろしてソーセージ作りに精を出しておられます。
シェフ曰く『わたしに強引に(チャリティに)勧誘されて逃げられなくなった』二人です。
グアンチャーレははじめての挑戦。
ですからシェフは「琉球グアンチャーレ」と命名されました。
画期的な試みだと思います。
そのお二人の紹介を、シェフの文から引用します。
⚫️照井孝弘(てるいたかひろ)北海道帯広出身 アウトドア関連の仕事からソーセージ職人に転職。沖縄の素材を使った子どもが安心して食べられるソーセージを作っています。お店は「プカプカプーカ」でググってください。地方発送もあります。優しく美味しいです。
⚫️嶺井大地(みねいだいち)沖縄那覇出身 静岡の大手ソーセージ会社でみっちりしごかれ 年内には沖縄市で店舗を立ち上げ予定のソーセージ職人。『料理工房・てだこ(^o^)亭』では生の腸詰めグリルが大人気です。是非一度召し上がってみて下さい。
二つのソース共に、グアンチャーレはちょうど良い大きさのサイコロ状に切ってあります。
ともに美味しいのですが明確な違いを感じました。
ただ、ちょっと頭がボーっとしていた夜でしたので混同が心配。
それぞれの感想を書くことは控えておきます。
なお、お店ではどちらか片方のグアンチャーレを使用しています。
嶺井さんの作品は終了し、現在は照井さんの製品だけを使っています。
さらに、『わたしに強引に(チャリティに)勧誘されて逃げられなくなった』方がもうお一人。
同様にご紹介しましょう。
⚫️John Davis(ジョンデイビス)イギリス出身 北海道で10年、沖縄に移住して11年にわたり自分が食べたいチーズを作っている元英語教師。通販もしています。chees guy okinawaでググってください。彼の故郷のチェダータイプがおすすめ。
アマトリテャーナに使うチーズは、先述のように羊乳で作るペコリーノロマーノですが、シェフいわく「沖縄には羊がいません!!」
というわけで、沖縄でチーズ作りをされているデイビスさんの作品と、イタリアのパルミジャーノレッジャーノを混ぜているそうです。
このように、できるだけ沖縄県産にこだわって完成させたのが「料理工房・てだこ(^o^)亭」のアマトリテャーナです。
この地元重視の徹底が、おそらく内地の多くのイタリア料理店のチャリティーとは違う所。
そのコーディネーターがシェフ飯塚みどりさんというわけです。
⚫️飯塚みどり(いいづかみどり)東京都文京区出身 元カメラマンで沖縄移住をきっかけにイタリア料理店を独学で始めて18年目。とにかく沖縄の美味しいものをみんなに食べさせたい!で突っ走っておりますが少々息切れ中。今後ともどうぞよろしくお願いします!
この四人からと客から均等な金額を寄付金とし、地震被害への支援となります。
沖縄産食材にスポットライトを浴びせ、時には生産者を鼓舞してこられたシェフならではのこの新企画、
乗って良かったと思っています。
震災前のアマトリーチェの美しい風景(wikiより):わたしはまだこの町に行ったことがないのですが
最後に、イタリア中部の地震で被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。
調べてみると、メディチ家がこの地を支配していた1639年に、地震による甚大な被害があったそうです。
その時のアマトリーチェの町の犠牲者は500人。
当時の人口を推察すると、壊滅に近い状態だったのではないでしょうか。
過去の災害になかなか学ぶことができないのはいずこも同じのようですが、
石やセメントに頼りすぎず、震災に強い町となって復興をなしとげていただきたいと願います。
(そのためにはイタリア政府の支援が欠かせませんが。)
「三びきのこぶた」の末っ子ぶたはレンガで家を作りました。
狼の吐く息(暴風?)には耐えましたが、
このたびのような強い地震には持ちこたえられなかったことでしょう。
wikiより
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